ウイルス学:CGジヌクレオチドサプレッションは非自己RNAを標的とする抗ウイルス防御を可能にする
Nature 550, 7674 doi: 10.1038/nature24039
脊椎動物ゲノムでは顕著なCGサプレッション(抑制)が見られる。言い換えれば、5′-CG-3′ジヌクレオチドの数が予想よりも少ない。この特徴は、数億年にわたって蓄積してきたCからTへの変異によるものらしく、こうした変異はCG特異的DNAメチルトランスフェラーゼや自然発生的なメチルシトシン脱アミノ化によって引き起こされる。脊椎動物に感染する多数のRNAウイルスはDNAメチルトランスフェラーゼの基質ではないが、宿主のCGサプレッションを模倣している。ウイルスゲノムのこのような特性は説明がついていない。今回我々は、同義変異誘発を用いて、CGサプレッションがHIV-1複製に極めて重要であることを示す。HIV-1の複製に対するCGジヌクレオチドの有害な影響は累積的で、細胞質RNAの枯渇と関連しており、翻訳されたエキソン性RNA配列と翻訳されなかったものの両方に含まれるCGジヌクレオチドによって引き起こされた。低分子抑制性RNAを用いたフォーカストスクリーニングから、ZAP(zinc-finger antiviral protein)が、CGが豊富に含まれるHIV-1が感染した細胞でのビリオン産生を阻害することが明らかになった。CG含量が任意のヌクレオチド配列を模倣しているセグメントを含むHIV-1変異体は、未操作の細胞では複製が減弱していたが、ZAP欠損細胞での複製は正常だった。CLIP–seq(crosslinking–immunoprecipitation–seq)による解析から、ZAPがCGジヌクレオチドを含むRNA配列に直接かつ選択的に結合することが実証された。これらの知見から、ZAPは宿主のCGサプレッションを利用して非自己RNAを特定していると考えられる。HIV-1のジヌクレオチド構成は(またおそらくは他のRNAウイルスのそれも)、宿主によるこうした防御を回避するために適応したもののようである。

