Letter

生態学:森林多様性の緯度勾配には時間的共存機構が寄与している

Nature 550, 7674 doi: 10.1038/nature24038

ボルネオ島およびアマゾン川流域の熱帯林は、それぞれ0.5 km2の領域に、ヨーロッパ、北米およびアジアの温帯林の総計を上回る高木種の多様性を抱えていると考えられる。長年、生物学者はこの差異に興味をそそられ、生物多様性の潜在的な駆動要因を調べる手段として用いてきた。こうした駆動要因の緯度の違いによる変動は、生態学的過程および進化的過程において地理的な差を生むという予想であり、熱帯生態系では多様化、クレードの出現およびクレードの分散がより高速であることが、証拠から次々と示されている。しかし、群落内の局地的な生態学的過程の勾配を生物多様性の地理的勾配と直接結び付ける証拠は、現時点で皆無である。今回我々は、貯蔵効果の地理的変異を明らかにする。これは、競争的排除の起こる可能性が温帯および北方帯よりも熱帯で強く低下するという生態学的機構であり、種間と種内の競争比は、生態系の緯度が赤道に1度近づくにつれ0.25%減少する。また、緯度による気候の変化がこうした差を支えていることを示す証拠が見いだされた。熱帯の長い生育期が生殖の季節的タイミングの制約を緩和して新規加入の種間同調性を低下させることで、貯蔵効果によりニッチ分割が強化されるのである。今回の結果は、貯蔵効果の強度、ひいてはそれが群落内の高木の多様性に与える影響が、気候に伴って緯度とともに変化することを示している。この知見は、地理的多様性パターンの形成における生物的相互作用の重要性に光を当てるとともに、生態学的過程を支える機構をこれまで評価されてきた以上に詳しく理解することの必要性を強く示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度