免疫学:マクロファージでのインフラマソームによるカテコールアミンの異化は加齢の間に脂肪分解を減弱させる
Nature 550, 7674 doi: 10.1038/nature24022
カテコールアミンが誘導する脂肪分解は、トリグリセリドの加水分解によるエネルギー基質産生の第1段階であり、年齢とともに減弱する。高齢者での遊離脂肪酸の動員不足は、内臓脂肪の増加、運動能力低下、寒冷ストレス時の深部体温維持障害や飢餓状態での生存能力低下を伴う。高齢者で、脂肪細胞でのカテコールアミンシグナル伝達が正常であるにもかかわらず、加齢の間に脂肪分解が障害される仕組みについては解明されていない。本論文では、脂肪組織のマクロファージが、ノルアドレナリンの生体内での利用可能量を低下させることによって、マウスの脂肪細胞における脂肪分解の加齢に関連した減弱を調節していることを示す。予想外なことに、脂肪組織マクロファージのバイアスの無い全トランスクリプトーム解析によって、加齢はカテコールアミンの分解を制御している遺伝子の発現をNLRP3インフラマソーム依存的に上昇させることが明らかになった。加齢の間にNLRP3を消失させると、ノルアドレナリンを分解することが知られているモノアミンオキシダーゼA(MAOA)と、GDF3(growth differentiation factor-3)の発現が低下して、カテコールアミンが誘導する脂肪分解が回復した。これに一致して、インフラマソームが活性化したマクロファージ中のGDF3を消失させると、MAOAやカスパーゼ-1の量の低下によって脂肪分解が改善された。さらに、MAOAの阻害は、脂肪組織でのノルアドレナリン濃度の加齢に関連した低下を元のレベルに戻し、重要な脂肪分解酵素である脂肪トリグリセリドリパーゼ(ATGL)やホルモン感受性リパーゼ(HSL)の量を増加させて脂肪分解を回復させた。我々の研究は、交感神経系とマクロファージとの間の神経–免疫代謝シグナル伝達を標的とすることが、慢性炎症によって誘導される代謝障害や機能低下を緩和させる新しい手法となる可能性を明らかにしている。

