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神経科学:ApoE4はタウオパチーのモデルマウスにおいてタウを介した神経変性を著しく増悪させる

Nature 549, 7673 doi: 10.1038/nature24016

APOE4は遅発性アルツハイマー病発症における最も強力な遺伝的リスク因子であり、ApoE4は他のApoEアイソフォームに比べて、脳内アミロイドβ病変を増加させることが知られている。しかし、こうしたアミロイドβ病変に対する作用とは別に、APOEがアルツハイマー病や他のタウオパチーで認められるタウ病変、あるいはタウを介した神経変性に対しても、何らかの影響を及ぼすかどうかは明らかになっていない。今回我々は、ヒトApoE(E2、E3、E4)をそれぞれノックイン(KI)した、あるいは内因性ApoEをノックアウト(KO)した、P301S変異型タウトランスジェニックマウスを作製することにより、P301S/E4マウスは3か月齢までに、P301S/E2マウス、P301S/E3マウスおよびP301S/EKOマウスに比べて、脳内のタウ量が顕著に増加すること、また細胞体樹状突起へタウがより多く局在することを明らかにした。9か月齢に達すると、異なるApoEアイソフォームを発現するP301Sマウス間で、リン酸化タウタンパク質(p-tau)の染色パターンに違いが見られるようになった。さらにP301S/E4マウスでは、P301S/E2マウスやP301S/E3マウスに比べて脳の萎縮や神経炎症が顕著に生じていること、P301S/EKOマウスではこのような変化はほとんど生じないことも明らかになった。in vitroで、E4を発現するミクログリアに対しリポ多糖処理を行ったところ、自然免疫応答がより強く活性化した。また、P301S変異型タウを発現するニューロンとE4を発現する混合グリア細胞とを共培養すると、E2発現グリアやE3発現グリアと共培養した場合に比べ、腫瘍壊死因子α(TNF-α)の分泌が増大するとともに、ニューロンの生存率が大きく低下した。EKOグリアと共培養したニューロンでは、TNF-αの分泌量が最も低く、生存率が最も高いことも分かった。P301S変異型タウを発現するニューロンに対して組換えApoE(E2、E3、E4)を添加した場合にも、ApoEを添加しなかった場合に比べて、いくらかの神経障害や神経細胞死が生じ、ApoE4ではこの作用が増強していた。また、ε4対立遺伝子を持つ孤発性の原発性タウオパチー患者は、各脳領域においてより強い神経変性を呈していた。すでに症状を発症していてアミロイドβ病変が陽性のアルツハイマー病患者では、通常タウ病変も蓄積していると考えられるが、このような患者においてはε4対立遺伝子を保有していると、疾患の進行速度が速いことが分かった。これらの結果は、ApoEがアミロイドβ病変に対する作用とは別に、タウ病変の形成、神経炎症、タウを介した神経変性に対して影響を及ぼすことを示している。このようなApoE4の作用は、「毒性」の機能獲得によるもので、ApoEの欠損は防御的に働くことが明らかになった。

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