がん遺伝学:胚体外系列細胞のエピジェネティックな制限は、体細胞のがんへの移行と非常によく似ている
Nature 549, 7673 doi: 10.1038/nature23891
哺乳類では、胚本体の運命指定の際に体細胞DNAメチル化のカノニカルな全体像が確立されるが、多くのがんではこれが後に破壊される。しかし、このようなゲノム規模の変化を引き起こす機構は解明されておらず、メチル化修飾の系統立った獲得、あるいはそれが発生過程で果たすであろう役割についての明確なモデルはない。今回我々は、マウスの着床前の胚から初期胚盤葉上層と胚体外外胚葉が生じる際に起こる全体的な再メチル化について詳しく調べた。この2つでは、ゲノムメチル化の分布が大きく異なっていて、胎盤前駆体ではCpG密度に依存した二峰性のメチル化パターンが大幅に破壊されていることが明らかになった。胚体外エピゲノムには、胚では保護されている多数のCpGアイランドプロモーターに起こった特異的でde novoなメチル化が含まれていて、こうしたメチル化は重要な発生調節因子に関連するCpGアイランドプロモーターのうちヒトのほとんどの種類のがんでオルソロガスにメチル化されているものに、とりわけ多く起こっていた。これらのデータは、胚体外組織の進化上の革新には、胚体外からの合図に応じて胚葉形成を協調させるPolycomb群タンパク質による調節の代替品として、DNAメチル化を基盤とする抑制を採用する必要があった可能性を示唆している。我々はさらに、この決定がエピジェネティック補因子の全く新規な組み合わせを介して、無差別的に使われる(がん化につながることも多い)シグナル伝達経路の下流で確定的になされることも確認した。従って、腫瘍発生の際に起こる発生関連遺伝子プロモーターのメチル化は、本来的に備わっている経路の不正流用であって、発生過程に潜在的にコードされているエピジェネティックな全体像の自然発生的な再獲得を示しているのかもしれない。

