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構造生物学:ヒト転写因子IIHの低温電子顕微鏡構造
Nature 549, 7672 doi: 10.1038/nature23903
ヒトの転写因子IIH(TFIIH)は、真核細胞でのRNAポリメラーゼIIによる遺伝子転写開始に必要とされる基本転写装置の一部である。TFIIHは、分子量の合計が約500 kDaとなる10個のサブユニットから構成され、ヌクレオチド除去修復にも必須である。XPB、XPD、p62、p52、p44、p34とp8の7つのサブユニットから形成されるTFIIHコア複合体はDNA修復能力があるが、転写開始にはCDK7のキナーゼ活性に加えてサイクリンHとMAT1サブユニットを含むCDK活性化キナーゼサブ複合体がさらに必要とされる。TFIIHのサブユニットであるXPB、XPDやp8に生じた変異は、遺伝疾患である色素性乾皮症やコケイン症候群、硫黄欠乏性毛髪発育異常症で見られる重篤な早期老化や高いがん発生傾向につながり、このことはTFIIHの細胞生理学的重要性を明確に示している。今回我々は、ヒトTFIIHの4.4 Å分解能での低温電子顕微鏡構造を示す。この構造から、TFIIHコア複合体の分子構造、複合体の構成要素であるXPBとXPDというATPアーゼの詳細な構造、およびTFIIHのコア複合体とキナーゼサブ複合体の連結の仕組みが明らかになった。加えて、今回得られた構造はTFIIHのコンホメーション動態とその活性調節に関する知見を提供するものである。

