Letter

化学:プログラム可能な分子機械を用いる立体分岐型合成

Nature 549, 7672 doi: 10.1038/nature23677

個々の原子や反応性の高い原子クラスターをオングストロームの精度で操作する分子機械は実現しそうにないと、もっともらしく主張されてきた。しかし、生物分子機械は、リボソームによる配列特異的合成から、つながれた分子が多酵素複合体の活性部位から活性部位へと引き渡されるポリケチド合成酵素まで、一連の化学反応を進めるために、かなり反応性の低い基質を当たり前のように適切に配置している。人工分子機械は、配列特異的オリゴマー合成、生成物のキラリティーの切り替えなどを目的として開発されてきた。また、光応答性ホスト分子は結合したゲスト分子を機械的にひねることができるとの報告や、分子プラットフォーム上のサイト間でラチェット機構を通して選択的にいずれかの方向に分子フラグメントを輸送した例もある。今回我々は、異なる活性化部位間で基質を動かし化学合成によって異なる生成物をもたらす人工分子機械について詳細に報告する。この分子ロボットは、タンデム反応過程においてα,β-不飽和アルデヒドへのチオールとアルケンの付加によって生成し得る4つのジアステレオ異性体のうちのいずれか1つを、立体選択的に逐次的ワンポット操作で過剰生成するようプログラムできる。今回の立体分岐型合成では、従来のイミニウム–エナミン有機触媒反応では選択的に合成できないジアステレオ異性体も生成される。我々は、次世代のプログラム可能な分子機械が化学合成や分子製造において重要な役割を担う可能性があると予想する。

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