Letter
気候科学:全球気温の1.5°Cの上昇がアジアの氷河に及ぼす影響
Nature 549, 7671 doi: 10.1038/nature23878
アジアの高山地帯(HMA)の氷河は、数百万人の人々への水の供給に大きく寄与しているが、人為的な気候変動の結果として、他の地域に見られるのと同程度の速度で後退し、質量を失っている。2015年のパリ協定において、全球の気温上昇を産業革命前と比べて1.5°C未満に抑制するという野心的な目標に195か国が合意した。しかし、1.5°Cの気温上昇がHMAの氷河にとってどのような意味を持つのかは分かっていない。本論文では、1.5°Cの全球気温上昇によって、HMAが2.1 ± 0.1°C温暖化し、HMAに蓄えられている現在の氷河質量の64 ± 7%が、今世紀末まで残ることを示す。1.5°Cという目標は極めて野心的であり、IPCCの保守的な代表濃度経路シナリオ(RCP)2.6のアンサンブルの少数の気候モデルでしか予測されていない。RCP4.5、RCP6.0、RCP8.5の予測では、氷河の大部分が消失する可能性が高く、今世紀末までにそれぞれ49 ± 7%、51 ± 6%、64 ± 5%の質量が失われると予測されている。こうした予測は、地域水管理と山岳域の地域社会に深刻な影響を及ぼす可能性がある。

