Article

量子物理学:衛星–地上間での量子鍵配送

Nature 549, 7670 doi: 10.1038/nature23655

量子鍵配送(QKD)は、量子重ね合わせ状態にある光量子を用いて、遠隔地の間で無条件の通信セキュリティーを保証する。しかし、光ファイバーや地上の自由空間ではチャネル(通信路)の損失によって光子の伝送レートが指数関数的に低下するため、QKDを実現できる距離はこれまで数百キロメートルに限られていた。何もない(真空の)空間では光子損失やデコヒーレンスが無視できるほど小さいため、衛星を用いたQKDは地球規模の量子ネットワークの構築に役立つ可能性がある。今回我々は、デコイ状態QKD実現のための低軌道衛星の開発と打ち上げについて報告する。デコイ状態QKDは、高いチャネル損失において微弱コヒーレント光パルスを用いる方式で、光子数分割攻撃による盗聴を検知できるため安全性が確保されている。我々は、衛星から地上まで最長1200 kmにわたってキロヘルツの鍵レートを達成した。この鍵レートは、同じ長さの光ファイバーを用いた場合の予測値と比較すると約20桁大きい。信頼性があり、効率的に量子状態を伝送できるリンクを宇宙–地上間で構築したことで、地球規模の量子ネットワークの実現への道が開かれる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度