Letter
植物科学:GLUTAMATE RECEPTOR-LIKEチャネルはコケ類における走化性と生殖に必須である
Nature 549, 7670 doi: 10.1038/nature23478
グルタミン酸受容体は、動物の神経伝達の過程で細胞間コミュニケーションを仲介することがよく知られているチャネルであるが、神経系を持たない生物での役割は不明であった。植物では、GLUTAMATE RECEPTOR-LIKE(GLR)ファミリーの遺伝子は病原体に対する防御や、生殖、気孔開口の制御、光シグナル伝達に関わると考えられている。しかし、被子植物のゲノム中には数多く(20~70個)のGLR遺伝子が存在するため、機能喪失変異体ではっきりとした表現型は観察されていない。今回我々は、陸上植物の基部に位置するヒメツリガネゴケ(Physcomitrella patens)において、GLR遺伝子であるGLR1とGLR2の変異体で、精子細胞が雌の生殖器官へと到達できないことを示す。さらに、GLR遺伝子は非選択的Ca2+透過性チャネルをコードしていて細胞質のCa2+濃度を調節することができ、接合子の発生に必須なBELL1-like転写因子の発現誘導に必要であることが分かった。この研究から、精子の走化性や転写調節におけるGLRチャネルの役割が明らかとなった。精子の走化性は、動物、およびコケ植物やシダ植物といった初期の陸上植物の両方において受精に必須である。そのため我々の結果は、イオンチャネル型グルタミン酸受容体が有性生殖時の細胞間コミュニケーションを仲介するよう植物の進化過程で保存されてきたことを示唆している。

