Letter

ナノ科学:分子機械が細胞膜に穴を開ける

Nature 548, 7669 doi: 10.1038/nature23657

細胞膜の脂質二重層に穴を開けるために、より一般的な化学的送達手法の枠を超えて、いくつかの物理的手法が用いられている。こうした手法には、電場、磁場、温度、超音波、光を用いて、化合物を細胞内に導入する手法、細胞から分子種を放出させる手法、プログラム細胞死(アポトーシス)や制御されない細胞死(ネクローシス)を選択的に誘導する手法などがある。最近では、生物医学への応用向けに、外部刺激に応答して制御された方法でコンホメーションを変えることのできる分子モーターや分子スイッチを用いて、組織への機械的作用が生み出されている。今回我々は、分子機械が、分子スケールの動作、具体的にはナノ機械的作用を用いて細胞二重層に穴を開けることができることを示す。分子モーターを脂質二重層に物理的に吸着させた後、紫外光を用いてこのモーターを活性化すると、細胞膜に穴が開く。我々は、分子モーターと、ナノ機械的作用を用いる複数の補完的実験プロトコルを設計し、合成ベシクルの外への化学種拡散の誘導、追跡可能な分子機械の生細胞への拡散と生細胞内での拡散の促進、ネクローシスの誘導、生細胞への化学種の導入を行った。また我々は、短いペプチド付加体を有する分子機械を用いると、ナノ機械的作用によって細胞表面の特異的認識部位を選択的に標的化できることも示す。今回実証したin vitroでの適用を超えて、特に分子機械の設計の進歩によって二光子活性化や近赤外活性化、高周波活性化が可能になれば、分子機械がin vivoでも使用できるようになる可能性があると、我々は予想する。

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