Letter
細胞生物学:エピジェネティック機構によるTH17および誘導性Treg細胞バランスの代謝制御
Nature 548, 7666 doi: 10.1038/nature23475
代謝は、エピジェネティクスや転写と一体となって、細胞の運命や機能を変化させることが明らかになっている。代謝がT細胞分化において必要な生体エネルギーや生合成を満たすだけでなく、エピジェネティック機構によってT細胞運命も制御するかどうかは不明である。今回我々は、17型ヘルパーT(TH17)細胞の誘導性制御性T(iTreg)細胞への分化を再プログラム化するアミノオキシ酢酸という低分子を発見し、その機構解析を通して、主にGOT1によって触媒されるアミノ基転移の増加が、分化中のTH17細胞における2-ヒドロキシグルタル酸レベルの増加をもたらすことを示す。2-ヒドロキシグルタル酸が蓄積すると、Foxp3遺伝子座に過剰メチル化が生じ、TH17細胞への運命決定に必須のFoxp3の転写を阻害した。グルタミン酸のα-ケトグルタル酸への転換を抑制すると、2-ヒドロキシグルタル酸の産生が妨げられ、Foxp3遺伝子座のメチル化が減少することで、Foxp3発現が増加した。これは結果として、転写因子RORγtの機能に拮抗することでTH17細胞の分化を阻害し、iTreg細胞への極性化を促した。アミノオキシ酢酸を用いたGOT1の選択的阻害は、TH17細胞とiTreg細胞の間のバランスを調節することによって、治療マウスモデルでの実験的自己免疫性脳脊髄炎を改善した。従って、グルタミン酸依存性の代謝経路を標的にすることは、TH17介在性自己免疫疾患に対する治療薬を開発するための新たな戦略となる。

