生態学:夜間の人工光は花粉媒介への新たな脅威である
Nature 548, 7666 doi: 10.1038/nature23288
花粉媒介者は世界的に減少しており、これらの動物が作物と野生植物の両方に提供している花粉媒介という必須のサービスもまた、並行して減少するのではないかという懸念が生じている。花粉媒介者の減少と関連付けられている人為的な駆動要因には、生息地の変化、集約農業、農薬、侵略的外来種、病原体の蔓延、および気候変動が含まれる。最近、夜間の人工光の世界的な急増が、陸上生態系への新たな脅威であるとの見方が示されたが、人工光の増加が生態系機能に及ぼす影響はほとんど知られていない。今回我々は、夜間の人工光が夜間の花粉媒介ネットワークを崩壊させ、植物の繁殖成功に対して負の影響を及ぼすことを明らかにする。人工的な光を照射した植物–花粉媒介者群集では、夜行性花粉媒介者の植物への訪問が、暗い地域に比べて62%減少していた。注目すべきことに、解析対象植物では、昼行性の花粉媒介者が数多く訪れていても果実の形成は全体で13%減少していた。さらに、昼間と夜間の花粉媒介ネットワークを融合させることで、こうした融合ネットワークの構造が夜間の花粉媒介の妨害という負の影響を昼間の花粉媒介群集にも広める傾向があることが分かった。これらの知見は、夜間の人工光が花粉媒介への脅威であることを明らかにしており、また、夜間の人工光が夜間の花粉媒介に及ぼす負の影響は昼行性花粉媒介群集に広がると予測されることから、ひいては昼行性群集の減少も悪化させると考えられる。今回得られた植物–花粉媒介者群集の機能についての洞察は、夜行性花粉媒介者が昼行性群集と重複する存在ではないことを示しており、人為的要因による花粉媒介者やそれらが提供する生態系サービスの減少についての理解を深めるものである。

