Letter
光学:例外点は光マイクロ共振器におけるセンシング感度を向上させる
Nature 548, 7666 doi: 10.1038/nature23281
センサーは、ホームセキュリティーシステムの赤外線センサーや、環境モニタリング用の粒子センサー、携帯電話のモーションセンサーなど、日常生活の多くの場面で重要な役割を果たしている。高品質光マイクロ共振器は、極めて狭い空間において光と物質の相互作用を増強させることができるので、センシング用途向けの有力候補となっている。そうしたデバイスの例としては、機械的トランスデューサー、磁力計、単一粒子吸収分光計、単一粒子の寸法測定用や単一ナノ粒子や原子イオンなどのナノメートルスケール物体検出用のマイクロ共振器センサーがある。従来から、光共振器近傍の微小摂動によって、摂動強度に比例する共振の線幅の変化、周波数のシフト、または分裂のいずれかが生じる。今回我々は、例外点(exceptional point)と呼ばれる非エルミートスペクトル縮退において動作させるとマイクロ共振器を高感度化できる、代替センシング方式を実証する。今回の実験で我々は、2つのナノスケール散乱体を用いて、連続的な全反射によって光が凹面に沿って伝搬するウィスパリングギャラリーモードのマイクロトロイド共振器を、精密かつ制御された様式で例外点に調節した。次に共振器のエバネッセント場に入るナノスケールの対象物体が例外点から系に摂動を与えることで、周波数分裂が生じる。例外点近傍の複素平方根トポロジーのために、この周波数分裂は摂動強度の平方根として変化するので、摂動が十分小さい場合は従来の非例外点センシング方式に見られる周波数分裂よりも大きくなる。例外点による感度増強の今回の実証は、かつてない感度のセンサーの実現に道を開くものである。

