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幹細胞:長期にわたるMek1/2抑制により胚性幹細胞の発生能が障害される
Nature 548, 7666 doi: 10.1038/nature23274
白血病阻害因子(LIF)の存在下で、2種類の低分子阻害剤(2i)により(以後2i/Lとする)Wnt経路の活性化とMapkシグナル伝達の抑制を同時に行うことによって、着床前胚の内部細胞塊(ICM)に類似した、ナイーブ状態のマウス胚性幹(ES)細胞が誘導される。in vivoではICMが一過性にしか存在しないのに対し、in vitroではナイーブ型ES細胞が長期にわたって安定的に増殖し、本来の機能を維持するが、その分子機構は解明されていない。今回我々は、雄マウスES細胞を2i/Lで長期培養し、その結果起こる不可逆的なエピジェネティック変化やゲノムの変化により、ES細胞発生能に障害が起こることを示す。また、血清とLIFという従来の培養液で培養した雌ES細胞は、2i/Lで培養した雄ES細胞を表現型模写することが分かった。機構として、これらの影響が生じる主な原因はMek1/2の阻害であり、その一部はDNAメチルトランスフェラーゼやそのコファクターの発現低下を介していることを示す。さらに、Mek1/2阻害剤の代わりにSrc阻害剤を用いると、エピゲノムおよびゲノムの異常が抑制され、ES細胞の発生能も維持された。以上より、我々の発見は、ES細胞におけるMek1/2の短期抑制はICMに似たエピジェネティックな状態の維持に役立つが、一方、長期にわたる抑制は不可逆的な変化を引き起こし、ES細胞の発生能に障害を与えることを示唆している。

