がん:神経膠芽腫において転写伸長因子はin vivoでがん依存性を示す
Nature 547, 7663 doi: 10.1038/nature23000
神経膠芽腫は一般に致死性のがんであり、その生存期間中央値はおよそ15か月間である。ドラッガブルな標的を明らかにするためにかなりの試みが行われているにもかかわらず、神経膠芽腫患者の寿命を顕著に伸ばす治療の選択肢はない。これまでの研究の大部分は、in vitroの細胞モデルに焦点を合わせたものだったが、今回我々は、神経膠芽腫の標的探索のための、より生理学的に有意義な手法を示す。我々は、プールしたRNA干渉(RNAi)によるスクリーニング技術を、患者由来の同所性異種移植片モデルで使えるようにし、機能的なin vivo腫瘍微小環境で、ハイスループットな負の選択スクリーニングプラットフォームを作製した。この手法を用いて、in vivoとin vitroのスクリーニングを平行して行い、in vivoでの細胞生存に必要とされるクロマチン調節因子と転写調節因子が、in vitroで必要とされるものと重複しないことを見いだした。我々は転写停止解除・伸長因子群が、in vivo特異的ながん依存性を持つことを突き止め、これらの因子が腫瘍微小環境で細胞の生存を可能にするエンハンサーを介した転写の適応に必要であることを明らかにした。我々のリードヒットであるJMJD6は、エンハンサーを介した転写停止解除を通じて、in vivoでのストレスや刺激に対する応答経路を上方調節し、in vivo特異的に細胞生存を促進する。JMJD6などの今回明らかになった伸長因子を標的とすると、同所性異種移植片マウスモデルで生存が延長したことから、転写伸長装置を標的にすることは、神経膠芽腫の効果的な治療戦略となる可能性がある。より広範な意味において、今回の研究は、これまでのin vitro手法では明らかにされなかった新たなクラスの「がん依存性」を見つける際に、in vivoの表現型スクリーニングが有用であり、治療介入の新たな機会をもたらし得ることを示している。

