免疫学:T細胞受容体レパートリーの特異性グループを明らかにする
Nature 547, 7661 doi: 10.1038/nature22976
T細胞受容体(TCR)の塩基配列は非常に多様であり、可能な配列の組み合わせは、1個体が持つT細胞の数よりも多い。今回我々は、ペプチド–主要組織適合遺伝子複合体(pMHC)四量体によって選別した細胞のパネルおよび構造データを用いたTCR配列の解析により、TCR抗原特異性の最小必要要件を規定する。我々はこの解析から、相補性決定領域3(CDR3)の配列の保存されたモチーフと全体的な類似性の両方に基づいて、共通の特異性を持つ可能性が高いTCRをクラスター化するためのアルゴリズムを開発し、GLIPH(grouping of lymphocyte interactions by paratope hotspots)と名付けた。我々は、GLIPHによって、異なるドナー由来の共通の特異性を持つTCRを確実に分類でき、抗原性ペプチドとの接点となる場合が多い保存されたCDR3モチーフが、TCRクラスターを規定するのに役立つことを示す。独立した検証として、我々は、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)に潜伏感染している22人に由来する反応性CD4 T細胞から得た、5711のTCRβ鎖配列を解析した。その結果、複数個体に由来するTCRを含む16の異なるグループをはじめとして、141のTCR特異性グループが発見された。これらのTCRグループは、概してHLA対立遺伝子を共有していることから、可能性のあるHLA拘束性の予測ができるようになり、また多数の結核菌T細胞エピトープによって、検討した5つのグループ全てに対しpMHCリガンドを特定できた。変異導入およびTCRをde novoに設計することで、GLIPHにより見つかったモチーフが、共通抗原認識に非常に重要かつ十分であることが確認された。従ってGLIPHアルゴリズムは、多数のTCR配列を解析して、TCR間および個体間で共通するTCR特異性グループを規定することができ、これはT細胞応答の解析を大きく加速させ、また特異的リガンドの発見を大幅に促進させるだろう。

