Letter

物性物理学:エニオン的熱流の量子化の観測

Nature 545, 7652 doi: 10.1038/nature22052

バリスティック(無衝突)一次元チャネルの熱コンダクタンスの量子は、固有の基本定数である。一次元バリスティック伝導体の電気コンダクタンスの量子化はかなり以前から実験で確認されていたが、熱コンダクタンスの量子化の実証は、非常に小さい温度上昇を正確に測定する必要があるため困難であった。弱く相互作用するフォノン系、光子系、電子フェルミ液体系については、熱コンダクタンスの量子化がすでに実現されている。しかし、理論的には、分数量子ホール効果が観測される系などの強く相互作用する系でも、この熱コンダクタンスの量子化は成り立っているはずである。この効果によって、エニオンと、場合によってはマヨラナフェルミオンとなる可能性がある無電荷準粒子の、電子の分数化による出現が説明される。分数量子ホール領域では、バルクは非圧縮性であるため、熱コンダクタンスにはあまり寄与しないと予想される。代わりに熱コンダクタンスはカイラルな一次元エッジモードによって決まる。従って、熱コンダクタンスは、電気コンダクタンスの測定では得られない分数量子ホール電子系のトポロジカル特性を反映する。今回我々は、GaAs–AlGaAsヘテロ構造の高移動度二次元電子ガスでの粒子様(Laughlin–Jain系列)状態やより複雑な(そしてあまり研究されていない)正孔様状態における熱コンダクタンスの測定について報告する。分数ランダウ準位充填率が1/2~1の正孔様状態は、ダウンストリーム電荷モードとアップストリーム中性モードを担持し、その熱コンダクタンスはダウンストリームとアップストリームのエッジモード全ての正味のカイラリティーによって決まると予想される。今回の結果によって、分数電荷モードと中性モードについて熱コンダクタンスの量子化の普遍性が立証された。エニオン的熱流の測定から、コンダクタンス測定では容易に得られない情報が得られる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度