Letter
量子物理学:光格子時計におけるスピン–軌道結合フェルミオン
Nature 542, 7639 doi: 10.1038/nature20811
低温原子系のスピン–軌道結合(SOC)を操作できれば、新しい合成材料や複雑な凝縮物質現象の研究が可能になる。しかし、アルカリ原子のスピン–軌道結合系の自然放出は発熱によって妨げられているため、多体効果の観察が制限され、これに代わることのできる方法を研究する動機となっている。今回我々は、スピン–軌道結合したフェルミオンを操作して、一次元光格子時計中に自然に生成させられることを実証する。これまでのSOC実験とは対照的に、今回は87Sr原子における2つの電子軌道状態間の極めて狭い直接的な光学時計遷移を使って、SOCを生成し調べている。我々は、クロック分光法を使って、格子バンド占有数、内部電子状態、準運動量を準備し、スピン–軌道結合ダイナミクスを生じさせた。励起されたクロック状態の寿命は極めて長い(160秒)ため、実験で関係するあらゆる時間スケールにおいて自然放出によるデコヒーレンスや原子損失が避けられ、その後に、SOCのバンド構造と固有状態を運動量分解やスピン分解してin situで調べることが可能になった。我々は、こうした能力を利用して、ブロッホ振動、スピン–運動量ロッキング、遷移状態密度のファン・ホーブ特異点を調べた。今回の結果は、フェルミオン光格子時計を使って物質の新しい相を調べる基礎を築くものである。

