老化:スプライシング因子1は線虫の食餌制限およびTORC1経路による寿命を調節する
Nature 541, 7635 doi: 10.1038/nature20789
老化は転写およびタンパク質の恒常性が失われることによって促進され、さまざまな慢性疾患の主要なリスク因子となっている。従って、老化に伴う全身の機能障害を軽減、あるいは改善させる介入により、高齢者の全般的な疾患リスクを低下させることができるかもしれない。mRNA前駆体のスプライシングは、遺伝子発現とプロテオームをつなぐ基盤であり、スプライシング装置の調節不全はいくつかの老化関連慢性疾患と関係している。しかし、健康な老化でスプライシングの恒常性が果たす役割は未解明である。本研究では、mRNA前駆体のスプライシングの恒常性が、線虫の一種Caenorhabditis elegansの平均余命のバイオマーカーであり予測因子であることを示す。自由摂食または食餌制限を施した加齢個体と若齢個体のトランスクリプトミクスおよび詳細なスプライシング解析により、老化に伴う広範なmRNA前駆体スプライシングの異常が見つかった。これらの異常は、食餌制限によって、スプライシング因子1[SFA-1;SF1のC. elegansホモログ、別名BBP(branchpoint binding protein)]を介して軽減された。SFA-1は、食餌制限による寿命の延長、ならびにTORC1経路の構成因子AMPK、RAGA-1、およびRSKS-1/S6キナーゼの調節による寿命の延長に特異的に必要であった。また、SFA-1の過剰発現は寿命を延長するのに十分であった。総合すると、以上のデータは、RNAスプライシングの恒常性が食餌制限による寿命で果たす役割を示すとともに、健康な老化はスプライソソームの特定の構成要素を調節することで延長される可能性があることを示唆している。

