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化学:触媒担体が水素スピルオーバーに及ぼす影響

Nature 541, 7635 doi: 10.1038/nature20782

水素スピルオーバーは、金属触媒粒子の表面で生成された活性水素原子が、触媒担体へと表面移動することである。この現象はよく研究されており、酸化チタンなどの還元性担体の上で起こることが確認されている。しかし、酸化アルミニウムなどの非還元性担体上で水素スピルオーバーが起こるかどうかについては、まだよく分かっていない。今回我々は、高精度のトップダウン型ナノ加工技術を用いて、還元性担体上と非還元性担体上での水素スピルオーバーの効率と空間的広がりの定量化を可能にする、精密に調節できる制御されたモデル系を作製した。我々は、酸化鉄ナノ粒子と白金ナノ粒子の複数の対を、対の間の距離を0~45 nmまで1 nmの精度で変化させ、酸化チタン担体上および酸化アルミニウム担体上に配置した。次に、白金上で生成された水素原子による酸化鉄粒子の還元の度合いを、単一粒子in situ X線吸収分光顕微鏡法を全粒子対に同時に適用して観察した。得られたデータと密度汎関数理論計算の結果から、酸化チタン上で高速で起こる水素スピルオーバーによって、離れた酸化鉄ナノ粒子がプロトン電子共役移動を通して還元されることが明らかになった。これに対して、酸化アルミニウム上でのスピルオーバーは、水とも相互作用し水素移動と水素脱離の競合を生じる3配位アルミニウム中心を介して起こる。その結果、酸化アルミニウム上での水素スピルオーバーは、酸化チタン上と比較して約10桁遅く、白金粒子から非常に近い距離に限定される。我々は、こうした観察結果によって、水素貯蔵や水素が関与する触媒反応に対する理解が深まるとともに、モデル触媒系を作製して調べる今回の手法によって、複数の機能を併せ持つ担持触媒における相乗効果の起源を研究する機会が得られると期待する。

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