Letter
気候科学:南極氷床の流出によって増幅される百年スケールの完新世気候変動
Nature 541, 7635 doi: 10.1038/nature20582
過去の気候変動の代理指標は、現在の全球気候モデルが百年から数千年の時間スケールの完新世の気候変動を系統的に過小評価しており、そのずれは期間が長いほど大きいことを示している。こうした相違の説明として提案されているのは、モデルにおける大気–海洋結合が弱過ぎること、時空間的に小さなスケールから大きなスケールへのエネルギーカスケードが不十分であること、また、全球気候モデルが炭素循環や氷床と気候の間の相互作用に関連する緩やかなフィードバックを考慮していないことなどである。しかし、こうした相互作用は、過去の氷期において百年スケールから軌道スケールの気候変動に影響を及ぼしてきたことが分かっており、将来の気候変動にも重要である可能性が高い。本論文では、海洋の表層水温の比較的小さな変化によって生じる南極氷床の流出量の変動が、数百年スケールの気候変動を海域的にも全球的にも増幅し得ることを示す。このことは、動的な南極氷床が完新世の気候変動を駆動した可能性を示唆している。我々は、南極氷床に由来する、氷山が運んだ岩屑の時間分解能の高い記録を解析し、空間分解能の高い南極氷床のモデル化と数千年間の全球気候モデルシミュレーションを行った。十年スケールの海洋強制に対する氷床の応答はそれほど重要でないと思われ、これは南極氷床の将来の応答が、気候の年々振動や十年振動よりも数百年の自然変動と組み合わさった長期的な人為的温暖化によって支配されることを示している可能性がある。

