Letter

気候科学:棚氷下の堆積物が記録した20世紀におけるパイン島氷河後退の歴史

Nature 541, 7635 doi: 10.1038/nature20136

過去40年間にわたって、西南極氷床のアムンゼン海区域に流れ込む氷河の薄化が加速しており、いくつかの数値モデルは、接地線(接地している氷と浮かんでいる棚氷の境界)の不安定で不可逆的な後退が進行していることを示唆している。こうした近年の後退を理解するには、接地線の歴史の詳しい知識が必要であるが、1990年代に人工衛星観測が始まる前の接地線の位置の年代はあまり定まっていない。特に、海洋強制による同時期の変化、および初期の摂動に対する現在進行している氷河応答の氷床損失における相対的役割を理解するには、接地線の後退の歴史を知る必要がある。本論文では、西南極のパイン島氷河で現在起きている薄化と後退は、1940年代に生じた気候によって強制される傾向の一部であることを示す。この結論は、浮いているパイン島氷河棚氷の下から回収された堆積物コアの分析から得られており、これによって隆起した海底海嶺から接地線が後退した年代が絞り込まれた。我々は、海嶺の頂上を越え、棚氷下に海洋空洞を形成した海水の流入は1945(±12)年に生じ、海嶺からの棚氷の最終的な分離は1970(±4)年に生じたことを見いだした。この海洋空洞が初めて開いたのは、エルニーニョ活動に伴って西南極が強く温暖化した時期の後だった。従って、今回の結果は、気候強制力が弱くなったときでも氷床の後退が続いていたことを示唆している。

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