免疫学:PD-1療法後に急激に増殖するCD8+ T細胞の特徴付け
Nature 537, 7620 doi: 10.1038/nature19330
慢性ウイルス感染はCD8+ T細胞の機能不全状態を特徴とし、これは抑制性受容体PD-1(programmed cell death 1)の発現と関連している。慢性感染の際にCD8+ T細胞応答を調節する機構の解明を進めることは、疲弊したCD8+ T細胞の機能を回復させる免疫療法の改善に必要である。今回我々は、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)に慢性感染したマウスで、PD-1抑制性経路の遮断後に増殖するウイルス特異的CD8+ T細胞集団を明らかにした。これらのLCMV特異的CD8+ T細胞は抑制性受容体PD-1を発現していたが、ICOSやCD28などの複数の補助刺激分子も発現していた。このCD8+ T細胞サブセットは独特の遺伝子シグネチャーを特徴としており、それはCD4+ 濾胞性ヘルパーT(TFH)細胞、記憶CD8+ T前駆細胞、造血幹前駆細胞の遺伝子シグネチャーに似ているが、CD4+ TH1細胞、CD8+ ターミナルエフェクターT細胞のそれとは異なっていた。このCD8+ T細胞集団は、リンパ系組織にのみ見られ、ナイーブCD8+ T細胞と共に主にT細胞帯に存在していた。これらのPD-1+ CD8+ T細胞は、慢性LCMV感染時の幹細胞に似ていて、自己複製を行うとともに、最終的にはリンパ系組織と非リンパ系組織の両方に存在する疲弊CD8+ T細胞にも分化した。PD-1遮断後の急激な増殖は、ほぼこのCD8+ T細胞サブセットだけから起こっていた。転写因子TCF1は、このCD8+ T細胞サブセットの産生に関して、細胞に本来備わっている不可欠な役割を果たしていた。これらの知見はT細胞疲弊の解明を進め、また、慢性感染やがんでのPD-1を標的とする免疫療法の最適化に関係してくる。

