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神経疾患:抗体aducanumabはアルツハイマー病でAβ斑を減少させる
Nature 537, 7618 doi: 10.1038/nature19323
アルツハイマー病(AD)は、脳内でのアミロイドβ(Aβ)斑の沈着と神経原繊維変化を特徴とし、シナプスの機能異常と神経変性を伴う。Aβに対する抗体を用いて、Aβの除去の誘導と神経毒性の軽減を狙う免疫療法は、これまでのところ成功していない。今回我々は、凝集したAβを選択的に標的とするヒトモノクローナル抗体aducanumab(アデュカヌマブ)の作製について報告する。ADのトランスジェニックマウスモデルでは、aducanumabが脳内に入り、実質のAβに結合し、可溶性および不溶性のAβを投与量依存的に減少させることが示された。ADの前駆症状の見られる患者あるいは軽度のADの患者では、aducanumabの月1回の静脈内注入を1年間続けると、投与量および投与期間に依存的に脳内Aβが減少する。これは、臨床認知症評価法判定尺度(CDR-SB)およびミニメンタルステート検査(MMSE)のスコアによって測定された臨床的認知機能低下の鈍化を伴っている。安全性および忍容性に関して得られた主要な知見はアミロイド関連画像異常(ARIA)である。これらの結果は、aducanumabのAD治療薬としての開発をさらに進めることを正当化するものである。進行中の第3相臨床試験で臨床的な認知機能低下の鈍化が確認されれば、アミロイド仮説の説得力のある裏付けとなるだろう。

