構造生物学:修飾されたヌクレオソームの53BP1による認識の構造基盤
Nature 536, 7614 doi: 10.1038/nature18951
DNAの二本鎖切断(DSB)は、DNA修復を制御するヒストン修飾カスケードを始動させる。この経路では、まずE3ユビキチンリガーゼRNF8によってヒストンH1が、次にRNF168によってヒストンH2Aがユビキチン化される。RNF168はH2Aのリシン13とリシン15をユビキチン化し(それぞれH2AK13ubとH2AK15ubが生じる)、これが引き金となって、DSBの両側のクロマチンのところに53BP1(別名TP53BP1)が引き寄せられる。53BP1は、UDR(ubiquitination-dependent recruitment motif)と名付けられたペプチド領域を介して、H2AK15ubを含むヌクレオソームに特異的に結合するが、それには53BP1のタンデム型TudorドメインがヒストンH4のジメチル化されたリシン20(H4K20me2)に同時に結合する必要がある。53BP1がヌクレオソーム中のこれら2種類のヒストン標識に結合する仕組みと、ユビキチンを認識する仕組み、またH2AK13ubとH2AK15ubとを識別する仕組みは、まだ解明されていない。今回我々は、H4K20me2とH2AK15ubを含むヌクレオソームコア粒子(NCP-ubme)が結合している二量化したヒト53BP1断片の4.5 Å分解能での低温電子顕微鏡構造を報告する。この構造から、H4K20me2とH2AK15ubの認識には、酸性パッチなどの複数のヌクレオソームエレメントとの密接な接触が関わっていることが分かった。53BP1によるユビキチンの認識は独特で、ユビキチンとNCP表面の間にUDR部分が挟まれる形になる。H2AK15ubに対する選択性をもたらしているのはH2Aのアミノ末端尾部にある2個のアルギニンフィンガーで、これがヌクレオソームDNAにまたがる形になり、ユビキチンをNCPに結合したUDR部分を覆うような位置に保つ働きをする。NCP-ubmeと53BP1との複合体の構造から、DSB部位へと53BP1が動員される仕組みの基盤が判明し、ヒストン標識の組み合わせとヌクレオソームエレメントとが協調して、染色体切断後に起こるクロマチン応答のような特異性の非常に高いクロマチン応答を誘発する仕組みが明らかになった。

