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神経科学:呼吸を制御する新規な興奮性ネットワーク
Nature 536, 7614 doi: 10.1038/nature18944
呼吸は、発声や嚥下、咳嗽といった他の動作と厳密に協調して行われなくてはならない。これらの動作は、吸気の後の後吸気(postinspiration)と呼ばれる呼吸相で行われる。吸気と後吸気の協調がうまく行かないと誤嚥性肺炎につながることがあり、こうした肺炎はアルツハイマー病やパーキンソン病、認知症などの神経変性疾患で死亡の主因となっている。今回我々は、マウスにおいて後吸気活動の神経相関をもたらす興奮性ネットワークについて報告する。このネットワークの基盤を構成しているのはグルタミン酸作動性–コリン作動性ニューロンであり、GABA(γ-アミノ酪酸)の介在する抑制によって、吸気との相対的なタイミングや協調が図られる。我々はこのネットワークを、後吸気複合体(postinspiratory complex;PiCo)と名付けた。PiCoは、自律的なリズム生成能を持ち、in vivoでの後吸気活動のために必要かつ十分である。またPiCoは、他の興奮性の脳幹ネットワークに比べると、神経調節物質に対して独特な応答を示す。このPiCoの発見を踏まえると、呼吸の3つの相はそれぞれ別の興奮性ネットワークによって生じると考えられる。これら3つのネットワークとは、吸気とすでに関係付けられているプレベツィンガー(preBötzinger)複合体、ニューロンによる後吸気の制御として今回明らかになったPiCo、および代謝需要が高いときに発動する呼吸相である能動的な呼気に関係するとされる側方傍顔面領域(pFL)である。

