進化学:鰭の形成には外胚葉性頂堤への体節細胞の関与が不可欠である
Nature 535, 7613 doi: 10.1038/nature18953
鰭から四肢への移行は陸上環境への適応に重要であるが、この重要な進化的移行が発生学的にどのように起こったのかは不明である。現在のモデルは、外胚葉性頂堤(AER)と、四肢や鰭の成長時にAERが分泌するシグナル伝達分子がそれぞれ果たす役割に着目したものである。四肢のAERとは対照的に、鰭のAERは、apical fold(AF)へ速やかに移行し、この過程で、付属肢骨格の前駆体の増殖を促進するAER由来のシグナルを止める。このように魚類と四肢類の発生でAERの運命が違うことから、四肢に見られるような付属肢構造をさらに生じさせるのに必要なAER依存的な鰭の間葉の拡張には、膜鰭の形成が進化的なハードルの1つになったのだろうと推測された。そのため、AERからAFへの移行における異時性遷移が、四肢の進化に非常に重要であると考えられてきた。しかし、AFの誘導を制御する機構が分かっていなかったため、このモデルを検討することができなかった。今回我々は、ゼブラフィッシュで、新たに見つかった体節由来系譜の細胞のAERへの侵入が、AFの誘導を調節することを示す。これらの細胞を除去すると、AFの形成が阻害され、AERの活性が延長し、鰭芽間葉の量が増加することから、これらの細胞が、鰭から四肢への移行に関するThorogoodの時計モデルで提唱された「タイミングを計る機構」となっている可能性が示唆される。さらに、AFを誘導する細胞が顎口類の進化の過程で次第に失われたことも明らかになり、四肢類の肢にこれらの細胞が存在しないことから、デボン紀の肉鰭類における四肢様構造の獲得の前段階として、これらの細胞の消失が必要であった可能性が示唆された。

