Letter
神経科学:脳卒中後に起こるアストロサイトからニューロンへのミトコンドリア輸送
Nature 535, 7613 doi: 10.1038/nature18928
ニューロンは、傷害されたミトコンドリアを処分や再利用のために近傍のアストロサイトに輸送することが知られている。ミトコンドリアを交換するこの能力は、中枢神経系での細胞間シグナル伝達様式の候補となり得る。今回我々は、マウスではアストロサイトの方も機能を備えたミトコンドリアを放出することがあり、これがニューロンに取り込まれることを見いだした。アストロサイトによる細胞外ミトコンドリアの放出は、CD38由来のサイクリックADPリボースが誘導する細胞内カルシウム濃度上昇が関わる機構によっていた。マウスでの一過性局所脳虚血を用いた実験で、アストロサイト由来のミトコンドリアが近傍のニューロンへ取り込まれ、この取り込みによって細胞生存シグナルが増強することが確認された。さらにCD38シグナル伝達を短鎖干渉RNAによって抑制すると、細胞外へのミトコンドリア輸送が減少し、神経学的転帰が悪化した。以上の結果から、細胞外ミトコンドリアを介した新たな神経学的クロストークが脳卒中後の内因性の神経保護と神経回復に関与する可能性が示唆された。

