Letter

気候科学:海洋渦と大気の相互作用によって調節される西岸境界流

Nature 535, 7613 doi: 10.1038/nature18640

現在の気候モデルは、黒潮やメキシコ湾流の続流などの、強い西岸境界流に伴う海洋前線の強さを系統的に過小評価しており、中緯度海洋の西岸境界における海洋前線の位置をシミュレートすることは困難である。前線や海流と強く相互作用する水平スケールが約100 kmの強い循環である海洋の中規模渦を高い格子分解能で解像しても、これらのバイアス問題を取り除くことはできていない。気候モデルを改善するには、こうした海洋前線の領域を支配する力学をさらに理解する必要がある。しかし、西岸境界前線に関する支配的な理論は、海洋内部の力学に基づいており、こうした海洋前線域における強い大気海洋フィードバックは考慮していない。本論文では、黒潮に直接つながっている日本の東方の黒潮続流ジェットに着目して、海洋における中規模渦と大気(OME-A)のフィードバックが、こうした強い海流の力学と制御の基盤であることを示す。渦を解像する結合気候モデルのシミュレーションにおいてOME-Aのフィードバックを抑制すると、黒潮続流ジェットの強さが20~40%弱まった。これは、OME-Aのフィードバックが渦のポテンシャルエネルギーの消滅を支配し、黒潮続流ジェットから抽出される渦のポテンシャルエネルギーの70%以上が散逸するためである。OME-Aのフィードバックが存在しなければ、エネルギー収支を釣り合わせるために、渦のポテンシャルエネルギーの生成が必然的に減少し、その結果平均流が弱まる。海洋前線は、温帯低気圧などの極端な事象のシミュレーションと予測だけでなく、こうした事象が気候変動に及ぼす影響の予測にも不可欠な要素であり、今回の知見は、気候モデルにおける主要な海洋前線の表現の改善に大きな影響を与える。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度