知覚:アマゾン先住民の不協和音に対する中立な反応から明らかになる音楽知覚の文化的差異
Nature 535, 7613 doi: 10.1038/nature18635
音楽はあらゆる文化に存在するが、音楽が生物学によってどの程度形成されているのかに関してはいまだに議論が続いている。音符の組み合わせのいくつかを西洋人が心地良いもの、すなわち協和音として知覚する一方で、別の組み合わせを不快なもの、すなわち不協和音として知覚することは、広く議論されている現象の1つである。協和音と不協和音との対比は西洋音楽の中心であり、その起源は古代ギリシャ以来、学者たちを引きつけてきた。一般に科学者たちは、協和音に対する審美的な反応は生物学的な起源を持ち、従って人類に普遍的に存在すると考えている。それに対し、民族音楽学者および作曲家たちは、協和音を西洋の音楽文化の産物と主張してきた。この問題が未解決なのは、協和音の選好性に異文化間でどの程度の差異があるのかがほとんど分かっていないことが一因となっている。本論文では、西洋文化との接触が最小限のアマゾン先住民社会「チマネ族」、ならびに西洋音楽との接触度が異なるボリビアおよび米国の比較集団による実験の結果を示す。参加者は、音の心地良さの評価を行った。チマネ族は、西洋的な識別能力、ならびに親しみやすい音および音の粗さに対する西洋的な審美的反応を示しながらも、協和音と不協和音のコードおよび声のハーモニーに同等の心地良さの評価を与えた。対照的に、ボリビアの都市および町の居住者は、米国在住者ほどではないが、有意に協和音を好んだ。この結果は、西洋音楽から十分に隔離された文化には協和音の選好性が存在しない可能性があり、従って協和音の選好性が、先天的な傾向または響きの美しい自然な音への曝露を反映しているとは考えにくいことを示している。今回観察された選好性の差異は、おそらく音楽的なハーモニーへの曝露によって決まっていると考えられ、音楽への審美的な反応の形成において文化が主要な役割を担っていることが示唆された。

