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エピジェネティクス:マウスの不活性化されたX染色体の構造

Nature 535, 7613 doi: 10.1038/nature18589

X染色体の不活性化(XCI)では、X染色体の発現が抑制されてヘテロクロマチンになるのに伴い、大規模な再編成が起こる。哺乳類の雌の発生では、2本のX染色体の一方に由来する非コードRNA Xistの発現上昇が、XCIの引き金となる。Xistが染色体をシスに覆い、自身のA反復領域を介してほぼ全ての遺伝子のサイレンシングを誘導するが、中には、ほとんどの細胞型でサイレンシングを免れる遺伝子(構成的な不活性化回避遺伝子)や特定の状況においてのみXCIを免れる遺伝子(条件的不活性化回避遺伝子)もある。不活性化されたX(Xi)染色体の編成には、Xistが役割を果たすと考えられている。最近の3C(chromosome conformation capture)法によって、Xi染色体全体で局所構造が失われ、DXZ4マクロサテライトを含む領域を中間に挟む巨大ドメインが形成されることが明らかになった。しかし、Xi染色体のサイレンシングされた領域、発現領域どちらについても、分子レベルの構造はまだ解明されていない。今回我々は、マウスの高度に多型なクローン化神経前駆細胞(NPC)と胚性幹細胞でXi染色体の構造、クロマチン接近可能性、発現状態を調べた。そして、対立遺伝子特異的Hi-C(genome-wide chromosome conformation capture)解析、ATAC-seq(assay for transposase-accessible chromatin with high throughput sequencing)法、RNA塩基配列解読法を用いて、Xi染色体の構造形成にXistDXZ4を含む境界領域が極めて重要な役割を担っていることを明らかにする。境界領域を欠失させると巨大ドメインの形成が起こらず、Xist RNAの誘導によって境界領域の形成が始まって、DNAの接近可能性が消失する。また、NPCのXi染色体は、XCIを免れた遺伝子の周辺を除き、活性/不活性区画とトポロジカル関連ドメイン(TAD)が消失することも分かった。不活性化回避遺伝子のクラスターはTADに似た構造を作り、プロモーター周辺部位とCTCF結合部位のDNA接近可能性を保持する。さらに、異なった神経前駆細胞クローンでの条件的不活性化回避遺伝子のパターン変化には、XCI後の異なったTAD類似構造の存在が関係している。これらの知見は、神経前駆細胞のXi染色体におけるTAD形成に、転写とCTCFが重要な役割を担っていることを示唆している。

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