地震学:海洋アセノスフェア内の流動力学に対する高分解能の地震学的制約
Nature 535, 7613 doi: 10.1038/nature18012
マントル内の対流とテクトニックプレートの動きは、地球内部に変形を生じさせ、この変形によって生じる岩石組織は、地震波速度の異方性を用いて判別できる。この変形は、コーナー流によって新しいプレートが形成される海底拡大中心近傍を含む、マントル最上部の海洋下のリソスフェア境界近傍や、プレートによって駆動される大規模な流れを潤滑しより小さい規模の対流が存在する弱いアセノスフェア内部で生じると、一般的に推測されている。海洋上部マントルの地震学的モデルは、こうした変形過程の相対的な重要度に応じて異なる。すなわち、海底拡大中心の組織は、地殻マントル境界(モホロビチッチ不連続面、つまりモホ面)直下の比較的局所的なスケ-ルでは極めて強いが、全球スケールや海洋底のスケールでは、海洋リソスフェアは一般的にはアセノスフェアと比べて異方性が弱いように思われる。今回我々は、太平洋中央部の海底地震計アレイ(NoMelt実験)で記録されたレイリー波を用いて、プレート中央部の海洋リソスフェア–アセノスフェア系内部における地震学的異方性に対する類のない局所的な地震学的制約を得た。方位異方性は、地震波速度が大きいリッド内部で最も強く、速度の速い方向は海底拡大方向と一致していることが分かった。方位異方性の大きさが最小となるのは、地震波低速度層中央部であり、アセノスフェアの最も弱い部分から下では深さとともに増大している。速い方向と見かけのプレート運動の相関は、どの深さでも見られなかった。今回の結果は、海嶺軸のコーナー流が生じる際に、アセノスフェア内部の圧力が駆動する流れや浮力が駆動する流れによって、海洋マントル浅部のひずみ変形が生じることを示唆している。プレート運動に伴うその下のアセノスフェア内部のせん断は、存在するとしても、こうした他の過程と比べて弱い。

