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構造生物学:ミトコンドリアのカルシウム単輸送体の構造

Nature 533, 7602 doi: 10.1038/nature17656

多くの真核生物クレードのミトコンドリアは、内膜にあって単輸送体と呼ばれる輸送体を通して大量のカルシウム(Ca2+)を取り込む。単輸送体による輸送は膜電位に依存し、ルテニウムレッドやその誘導体のRu360に感受性である。電気生理学的研究によって、単輸送体は極めて高いコンダクタンスと選択性を持つイオンチャネルであることが明らかになっている。Ca2+のミトコンドリアへの流入は、トリカルボン酸回路を活性化することも知られており、ミトコンドリアでのATP産生を細胞質でのATP需要に見合ったものにするのに必要らしい。ミトコンドリアのカルシウム単輸送体(MCU)は、単輸送体のホロ型複合体のCa2+を通過させる小孔形成サブユニットだが、そのアミノ酸一次配列はこれまで調べられているカルシウムチャネルのどれにも似ていない。今回我々は、線虫の一種のCaenorhabditis elegansから得たMCUの小孔ドメインの構造を、核磁気共鳴法(NMR)と電子顕微鏡法(EM)を用いて明らかにした。MCUはホモオリゴマーで、2番目の膜貫通ヘリックスが膜を貫通する親水性の小孔を形成している。チャネルのこの構成は、イオンチャネルの構造という問題に関する新しい解決法であり、ミトコンドリアマトリックスに突き出したコイルドコイルモチーフによって安定化されている。重要なDXXEモチーフが小孔の入口を形成し、カルボン酸が作る2個の輪がその特徴である。輪の大きさや機能的変異導入の結果から考えて、このような輪が選択性フィルターとなっているらしい。我々の知るかぎり、これはNMRによって詳細が明らかになった膜タンパク質構造としては最大級のものの1つであり、このチャネルの機能を解明する際に使える詳細な構造見取り図となる。

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