Letter

構造生物学:グルカゴン受容体アンタゴニストのヘリックスからなる特別な結合部位

Nature 533, 7602 doi: 10.1038/nature17414

グルカゴンは29個のアミノ酸からなるペプチドで、ランゲルハンス島α細胞から放出され、グルコース恒常性に重要な役割を担っている。グルカゴンの作用は、クラスBのGタンパク質共役グルカゴン受容体(GCGR)によって伝搬される。この受容体は肝臓や腎臓、腸管平滑筋、脳、脂肪組織、心臓や膵臓の細胞に存在していて、糖尿病治療での重要な薬剤標的と考えられている。最近見つかった小型分子のGCGRアンタゴニストは、2型糖尿病患者へ投与すると空腹時および食後の血中グルコース濃度が大幅に低下する。GCGRの膜貫通ドメインのX線構造は以前に解かれているが、リガンド(NNC0640)は解像できていない。今回我々は、アンタゴニストのMK-0893と複合体を形成したヒトGCGRの2.5 Å分解能での構造を報告する。MK-0893は7回膜貫通(TM)ヘリックスバンドルの外側にあるアロステリック部位に結合していて、TM6とTM7の間で脂質二重層内へと入り込む位置を占めていることが分かった。X線構造中で明らかになった重要な残基への変異導入により、受容体へのMK-0893の結合にこれらの残基が果たす役割が確認された。MK-0893の構造は他のGCGRアンタゴニストと似ているが、その結合部位は予想外の位置にあり、この受容体のグルカゴンによる活性化は、Gタンパク質との共役に必要なTM6の外向きのヘリックス移動の制限により妨げられるのだろう。クラスB受容体の構造情報は限られており、この他のリガンド結合部位としてはコルチコトロピン放出ホルモン受容体1(CRF1R)で7TMバンドルの深くに位置するものが明らかにされているだけである。今回の結果は、クラスB受容体の全く新規なアロステリック結合部位を報告するもので、この受容体クラスに対する構造に基づいた薬剤設計の機会を提供し、このような受容体の活性化機構に関する我々の理解を深めると考えられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度