材料科学:高密度分散系における動的せん断ジャミングの直接観察
Nature 532, 7598 doi: 10.1038/nature17167
高密度の硬質粒子分散系は、静止時は液体に似ているが、撹拌時やせん断時に挙動が著しく変化することがある。こうした現象の例として、高速衝撃時の固化や、分散系の粘度が不連続的に桁違いに高くなることを特徴とする強いずり粘稠化などがある。最近、これらの非ニュートン性の高い挙動の大半が、ジャミング転移の枠内で説明された。しかし、ジャミングは確かに固体様の剛性をもたらすが、強くずり粘稠化した状態であってもやはり流動性があるため、完全なジャミング状態というわけではない。さらに、分散系は非圧縮性であるが、標準的なジャミングシナリオにおける剛性の発現には粒子密度が増加しなければならない。また、ずり粘稠化は定常状態で起こるが、衝撃によって生じる固化は過渡的である。結果として、これらの高密度分散系の現象がどのように関連し合っているのか、またジャミングとどのように関係しているのか、よく分かっていなかった。今回我々は、同一実験系で定常状態と過渡領域を系統的に探ることによって、この点を解明した。乾燥粉粒体系で最近提示されたように、圧縮の代わりにせん断だけで、完全にジャミングした固体様の状態に至る可能性があることを実証する。この状態は過渡的なせん断ジャミングフロントによって生じ、我々はこれを直接追跡した。また、せん断速度ではなくせん断応力が主要な制御パラメーターであることも示す。我々は、こうした知見から、粒子密度とせん断応力を変数とした状態図を作製し、完全な固体様ジャミングの開始の直下におけるわずかにジャミングした領域で不連続なずり粘稠化を確認した。この状態図は、高密度分散系に関する過去の実験やシミュレーションの結果と矛盾しない統一的な枠組みを提示するものであり、動的せん断ジャミング過程の観点から、定常状態挙動と過渡挙動を結び付けるものである。

