構造生物学:シロイヌナズナの2孔型チャネルTPC1の構造、阻害および調節
Nature 531, 7593 doi: 10.1038/nature17194
2孔型チャネル(TPC)は、真核生物の電位依存性およびリガンド依存性の陽イオンチャネルのサブファミリー(TPC1~3)を構成していて、全く同じではない2つの小孔形成サブユニットが一列に並び、これらが二量体化して準四量体を形成している。TPCは液胞膜やエンドリソソーム膜に見られ、ナトリウムイオンやカルシウムイオンの透過性、小胞内pH、トラフィッキング、興奮性を調節している。TPCは、膜電位の低下と細胞質内カルシウム濃度の上昇により活性化され、細胞小器官内腔の低いpHやカルシウムにより阻害され、リン酸化により調節されている。今回我々は、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)由来のTPC1の2.87 Å分解能での結晶構造を報告する。これは、イオン透過、チャネル活性化、電位感知ドメインと調節に関わるイオン結合部位の位置解明の基盤となるものである。リン酸化部位はアミノ末端ドメインとカルボキシ末端ドメイン内にあることが決定され、これらは細胞質内Ca2+による活性化をアロステリックに調整するように位置している。2つの電位感知ドメインのうちの1つ(VSD2)は、電位感受性と細胞小器官内腔Ca2+による阻害に関わっていて、他の電位依存性イオンチャネルの構造で観察される活性化状態と異なるコンホメーションを採っている。その構造は、強力なファーマコアであるtrans-Ned-19が、小孔ドメインをVSD2へ固定することでアロステリックに作用していることを示している。動物では、Ned-19がエボラウイルスなどのフィロウイルス感染を防止するが、それはおそらくウイルスのエンドリソソームへの融合とエンドリソソーム内容物の細胞質への輸送を変化させることによっているのだろう。

