気候変動生態学:気候変動に対する全球の陸上生態系の感受性
Nature 531, 7593 doi: 10.1038/nature16986
気候変動下で生態系の持続性および復元力に寄与する特性を突き止めることは、全球に関連する優先的な研究課題の1つとなっている。本論文では、気候変動に対する生態系の相対的感受性を評価するための新しい実験的手法を示す。この相対的感受性は復元力の特性の1つであり、臨界閾値に近い系ほど外部摂動に対してより敏感に応答すると考える理論モデリング研究に基づいている。我々は新しい指標として、過去14年間にわたる気候変動に影響を受けた地域を特定する「植生感受性指数(vegetation sensitivity index)」を開発した。この指標は、MODIS(中分解能撮像分光放射計)のEVI(拡張植生指数)に由来する時系列データと、植生の生産力を促進させる3つの気候変数(気温、利用可能な水の量、雲量)を利用する。解析の基盤となるのは自己回帰モデリング法であり、これを使って、月単位の時間スケールで植生生産力を促進する気候要因を特定し、さらに、記憶効果があり外部強制力に対する応答速度が遅い地域も特定する。気候変動に対する応答が増幅された生態学的に感受性の高い地域は、北極ツンドラ、北方林帯の一部、熱帯雨林、全球の高山地域、中央アジアと南北アメリカのステップおよびプレーリー地域、南アメリカ東部のカーティンガ落葉樹林、オーストラリアの東部地域に認められた。今回の研究は、生態系が天然のものであれ人為的影響の濃厚なものであれ、環境の変動に対するその相対的応答速度を評価するための定量的な方法論を提供するものである。この方法論は、一部の地域が他の地域よりも感受性が高いように見える理由や、このことが生態系サービスの提供の復元力や人類の幸福に与える影響を明らかにするための第一歩となる。

