生物地球化学:大気への温室効果ガスの正味の供給源としての陸上生物圏
Nature 531, 7593 doi: 10.1038/nature16946
陸上生物圏は、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O)といった温室効果ガスを放出したり吸収したりできるため、大気組成と気候の制御に重要な役割を担っている。土地利用の変化、農業、廃棄物管理などの人間活動によって、陸上の生物起源の温室効果ガスフラックスが変化し、その結果生じたメタンと亜酸化窒素の排出量の増加は、気候変動に特に影響を与える可能性がある。陸上の生物起源の個々の温室効果ガスのフラックスは詳しく調べられているが、人間活動に起因する生物起源の温室効果ガスの正味の収支と気候システムに与える影響は、まだよく分かっていない。今回我々は、ボトムアップ手法(インベントリー、局地的なフラックス測定の統計的な外挿、プロセスベースモデリング)とトップダウン手法(大気逆解析)を用いて、人間活動に起因する1981~2010年の全球の生物起源の温室効果ガスの正味の収支と気候システムに及ぼす影響を定量化した。その結果、生物起源のメタンと亜酸化窒素の同時排出の累積的な温暖化能力は、2001~2010年の全球の陸地の二酸化炭素吸収に起因する冷却効果を約2倍上回ることが見いだされた。このことから、3種の温室効果ガスによって、地球のエネルギー収支に正の正味の累積効果がもたらされる。GWP100のメトリック(100年を対象期間とした地球温暖化の可能性)に基づくと、その最良推定値は、CO2換算で年当たり3.9 ± 3.8ペタグラム(トップダウン)および5.4 ± 4.8ペタグラム(ボトムアップ)である。今回の知見は、農業によるメタンと亜酸化窒素の排出量の、特に南アジアにおける削減が、気候変動の緩和に役立つ可能性を示唆している。

