高エネルギー宇宙物理学:電波観測による1017~1017.5電子ボルトの宇宙線における大きな軽質量成分
Nature 531, 7592 doi: 10.1038/nature16976
宇宙線は、自然界で見られる最も高いエネルギーの粒子である。エネルギーが1017~1018 eVの宇宙線の質量組成の測定は、宇宙線の源が銀河系内にあるのか、あるいは銀河系外にあるのか解明するために不可欠である。宇宙物理学的なニュートリノの信号は、こうしたエネルギーの宇宙線を生成できる加速機構に由来するとも考えられてきた。宇宙線は、大気中での二次粒子のカスケードである空気シャワーを生じさせ、その質量は、シャワー最大発達大気量(Xmax、空気シャワーに含まれる粒子数が最大になるときの深度)、あるいは地表に届くシャワー粒子の組成の測定から推測できる。現在の測定には、不確実性が大きい、すなわちデューティーサイクルが低くしきい値が高いという問題がある。宇宙線の電波探査は、急速に発展している手法で、原理的にはほぼ100%のデューティーサイクルで Xmax を決定できる。この放射は、地球磁場における相対論的な電子と陽電子の分離と、空気シャワー前面における負電荷の超過によって生成される。本論文では、エネルギーが1017~1017.5 eVの宇宙線によって生じる空気シャワーに対する、不確実性が平均16 g cm−2のXmax の電波測定について報告する。こうした高分解能のXmax によって宇宙線の質量スペクトルの決定が可能になり、軽い質量成分(陽子とヘリウム原子核)が約80%の混合した組成であることが分かった。現在の予測に反して、宇宙線の銀河系外成分が 1017.5 eV未満の全フラックスに大きく寄与していないかぎり、1017~1017.5 eVの範囲で測定された軽い成分を説明するには、銀河系成分がさらに存在することを今回の測定結果は示している。

