Letter

量子光学:共振器によるスピン緩和の制御

Nature 531, 7592 doi: 10.1038/nature16944

放射の自然放出は、励起した量子系が平衡に戻る基本的な機構の1つである。しかし、スピンでは、磁気双極子と電磁場の結合が弱いため、自然放出は他の無放射緩和過程に比べて一般的に無視できる。1946年にパーセルは、共鳴する共振器中に量子系を置けば、自然放出速度を大きく増大できることに気付いた。それ以来、この効果は、マイクロ波共振器や光共振器と結合した原子や半導体ヘテロ構造体の寿命の制御に広く使われており、効率の高い単一光子源の実現に不可欠になっている。本論文では、このアイデアを固体中のスピンに応用した結果を報告する。シリコン中のドナーのスピンを、Q値が高くモード体積が小さい超伝導マイクロ波共振器と結合させることにより、自然放出はスピン緩和の支配的な機構となる領域に達した。スピンを共振器の共鳴に調整すると、その緩和速度は3桁増大し、エネルギー緩和を要求に応じて制御できることが実証された。今回の結果から、スピン系を基底状態に初期化する一般的な方法が得られ、これは磁気共鳴や量子情報処理へ応用できる。さらに、スピンの磁気双極子と電磁場の結合を、量子ゆらぎがスピンダイナミクスに大きく影響するところまで増強できることも実証された。今回の結果は、個々のスピンとマイクロ波光子のコヒーレントな磁気結合への重要な一歩である。

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