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微生物学:活性化因子とメディエーター間の相互作用の破壊によって真菌多剤耐性を阻害する

Nature 530, 7591 doi: 10.1038/nature16963

真核生物の転写活性化因子は、RNAポリメラーゼIIに結合するメディエーター(Mediator)複合体のようなコアクチベーターを動員することにより、標的遺伝子群の特定のセットの発現を促進する。転写活性化因子の機能異常は、複数の疾患に関わっているとされてきた。しかし、疾患に関係する転写活性化因子による遺伝子活性化の機序については分子レベルでの詳しい解明がなされておらず、それが標的化治療法の開発を妨げてきた。我々は以前に、ヒト・メディエーターのMED15サブユニットにあって転写活性化因子の標的となる3本へリックスバンドルのKIXドメインを明らかにした。このドメインは、真菌のメディエーターのGal11/Med15サブユニットで構造的に保存されている。Gal11/Med15 KIXドメインは、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)、あるいはカンジダ属酵母で臨床的に重要なヒト病原体であるCandida glabrataでは、多剤耐性経路の重要な調節因子で多面的薬剤耐性(pleiotropic drug resistance)に関わる転写因子であるPdr1のオルソログと結合する。C. glabrataへの罹患率は上昇しつつあり、その一因は、最も広く使われているアゾール系抗真菌薬に対するこの菌の感受性が本来的に低いことである。C. glabrataの薬剤耐性臨床分離株では、Pdr1に点変異があって構成的に活性化されているものが非常に多く、この転写活性化経路がC. glabrataの多剤耐性の要となっていると考えられる。今回我々は、生化学的スクリーニング、in vivoでのハイスループットスクリーニングを連続して行い、C. glabrataのPdr1活性化ドメインとC. glabrataのGal11A KIXドメインとの結合を妨げる低分子阻害物質を複数見つけ出した。リード化合物であるiKIX1は、Pdr1に依存した遺伝子活性化を阻害し、in vitroで、またC. glabrataの播種性感染や尿路感染の動物モデルで、薬剤耐性C. glabrataのアゾール系抗真菌薬に対する感受性を復活させた。C. glabrataのGal11A KIXドメインのNMR構造を決定したことで、Pdr1の遺伝子活性化と多剤耐性をiKIX1が阻害する際の分子機構を詳細に解明することができた。今回の結果はメディエーターの転写因子結合部位を低分子化合物の標的とすることの実行可能性を実証したもので、これは真菌感染症の新しい治療戦略となるだろう。

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