Letter

量子物理学:分子イオンの量子論理分光法に対する非破壊状態検出

Nature 530, 7591 doi: 10.1038/nature16513

低温の捕獲分子イオンの精密レーザー分光法は、基礎物理学の強力なツールであり、例えば、基本定数の決定、基本定数にあり得る変動の実験室での検証、電子に存在する可能性がある電気双極子モーメントの探索に用いられている。しかし、分子には循環する遷移がないため、イオンを直接レーザーで冷却したリ、イオンの量子状態を制御し検出したりするのは困難である。これまで使われた、光解離や化学反応に基づいて状態を検出する方法は破壊的で、そのため効率が悪く、レーザー分光法で実現可能な分解能が制限される。今回我々は、捕獲分子イオンと、同時に捕獲され、よく制御された原子イオンとの強いクーロン結合を通した、単一の捕獲分子イオンの量子状態の非破壊検出を実験的に実証する。状態に依存する光双極子力に基づくアルゴリズムによって、原子の内部状態が分子の内部状態に従って変化する。我々は、分子イオンの個々の量子状態は、光双極子力との結合の強さによって識別できることを示す。また、単一分子イオンの回転状態間の量子飛躍(黒体放射によって生じる)も観測した。我々は、状態検出信号の離調依存性を使って、分子共鳴に関する別種の量子論理分光法も行った。今回の状態検出法は、広範囲の分子イオンに関わるものであり、状態制御量子化学や、星間雲の探査手段として役立つ分子の分光研究に適用できる可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度