Letter
医用生体工学:脳計測用の生体吸収性シリコン電子センサー
Nature 530, 7588 doi: 10.1038/nature16492
現代臨床医学では、急性冠動脈イベントから外傷までさまざまな症状の治療において、多くの処置が電子インプラントの使用に頼っている。しかし、標準的で永久に埋め込まれたままの電子ハードウエアは感染病巣となる。つまり、細菌が経皮ワイヤーに沿ってバイオフィルムを形成したり、血行性に播種したりして、体内を移動する可能性や免疫介在性の病的組織反応を誘発する可能性がある。一方、関連する外科的回収処置によって、患者は再手術に伴う苦痛を被るとともに別の合併症にもさらされる。今回我々は、脳に埋め込むことのできる多機能シリコンセンサーの材料、デバイス構成、集積化方法、ラットによるin vivoでの実証について報告する。このセンサーの構成材料は全て、加水分解や代謝作用を経て自然に吸収されるため、摘出する必要がない。頭蓋内圧と温度の連続モニタリングは、脳外傷の治療に不可欠な機能を例示しており、我々の吸収性デバイスの計測性能は、標準的な非吸収性の臨床デバイスに引けを取らないものである。今回の実験では、データ伝送のため経皮絶縁ワイヤーを、外付けの小型ワイヤレスポテンショスタットに接続している。また別の設定では、センサーを、埋め込んだデータ通信システム(部分的にしか吸収されない)に接続し、経皮配線不要という原則を証明している。このデバイスは、脳深部の他、腹部や四肢にも適合可能で、流体の流量、運動、pH、熱的特性の検知にも応用できる。これは、今回のセンサーが臨床医学の多くのニーズを満たすことができる可能性を示唆している。

