Letter

電池技術:超酸化リチウムを利用したリチウム–酸素電池

Nature 529, 7586 doi: 10.1038/nature16484

最近、超酸化ナトリウムや超酸化カリウムを利用した電池が報告された。リチウム–酸素(Li–O2)電池は、高いエネルギー密度が得られる可能性があることから盛んに研究されているが、超酸化リチウム(LiO2)を用いた電池はまだ報告されていない。Li–O2電池に関する数件の研究において、放電生成物の一成分としてLiO2が過酸化リチウム(Li2O2)と共に形成される証拠が見いだされている。さらに、理論計算によって、一部の形態のLiO2は長寿命である可能性が示唆されている。こうした研究は、電池用のLiO2を単独で形成できる可能性も示唆している。しかし固体のLiO2は、不均化に対して熱力学的に不安定でLi2O2が生成されてしまうため、純粋な形での合成は困難であった。今回我々は、適切なグラフェン系カソードを用いることによって、Li–O2電池内でLiO2結晶を安定化できることを示す。さまざまな手法で特性評価を行ったが、Li2O2が存在する証拠は認められなかった。カソード表面にイリジウムナノ粒子を用いた新しい鋳型成長機構が、LiO2結晶成長の原因となっている可能性がある。今回の結果は、Li–O2電池内に形成されるLiO2が、非常に低い充電電位(約3.2 V)で電池を繰り返し充放電できるほど安定であることを実証している。我々は、今回の発見がLiO2の合成方法や安定化方法につながり、LiO2系高エネルギー密度電池の他、酸素貯蔵などの用途にもLiO2利用の道を開く可能性があると考える。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度