Article
がん:髄芽腫の再発では分岐的なクローン選択が優勢となる
Nature 529, 7586 doi: 10.1038/nature16478
がんゲノム研究を通じた標的抗がん治療の開発は、生存率を上げ、治療に関連する毒性を下げることを目的としている。我々は、トランスポゾン誘導性の機能ゲノム的な髄芽腫マウスモデルに対し、「ヒト化」したin vivo治療(神経マイクロサージャリーによる腫瘍切除、およびそれに続く多分割照射による画像誘導放射線治療)を行った。マウスの再発性髄芽腫に見られた遺伝学的事象は、対応するマウス診断時標本に見られた遺伝学的事象との重複が非常に少なかった(5%未満)。ヒト髄芽腫の診断時と治療後の33組の全ゲノム塩基配列を解読したところ、治療後に優勢なクローンにかなりの遺伝学的分岐が生じていることが明らかになった(診断時の事象で再発時にも存続していたものは12%未満だった)。マウスでもヒトでも、再発時に優勢なクローンは、診断時にすでに存在していたマイナークローンのクローン選択によって生じていた。標的治療は該当する標的が存在しなければ効果が見込めないことから、今回の結果は、標的治療のこれまでの臨床試験の失敗に対する簡潔で根本に迫る説明を提示するものであり、こうした問題が改善可能であることを意味している。

