Letter
人類学:前期完新世のケニア・西トゥルカナにおける狩猟採集民の集団間暴力
Nature 529, 7586 doi: 10.1038/nature16477
先史時代の狩猟採集民の集団同士がどのような関係にあったかついては議論が続いており、定住社会が発達する以前の戦争の存在に関しては賛否両論がある。本論文では、トゥルカナ湖の西にあるNatarukの前期完新世の狩猟採集民集団に対する集団間暴力の事例について報告する。トゥルカナ湖は、後期更新世から前期完新世にかけて、現在の湖岸より約30 km外側に広がっていた。Natarukで見つかった関節のつながった骨格12体のうち10体には、沼のほとりで暴力によって死亡したことや、一部の死体が沼に落ちたことを示す証拠が認められた。これらのNatarukの人骨は特異なもので、沼の特殊な条件によって保存されており、意図的な埋葬の証拠は見られない。この人骨群は、過去の狩猟採集民の生と死をめぐる状況が垣間見られる希少な例であり、先史時代の狩猟採集民では戦争が集団間関係のレパートリーの一部であったことを示す証拠となる。

