Letter

生物地球化学:自然の二酸化炭素循環の人為的増幅によって駆動される将来の海洋の炭酸過剰

Nature 529, 7586 doi: 10.1038/nature16156

海水中の高い二酸化炭素(CO2)濃度(海洋の炭酸過剰)は、海洋動物の神経、生理、行動に欠陥を生じさせる可能性がある。海洋の炭酸過剰の開始と進展を予測するには、海洋のCO2濃度の年変動をよく理解する必要があるが、関連する全球的な観測データは不足している。今回我々は、増加する大気中CO2濃度の下で年サイクル全体にわたる海洋表層CO2濃度の進展に関する調査を可能にする観測結果を用いて、炭素濃度の月変動の全球的な海洋パターンを見いだした。我々は、大気中CO2濃度が今世紀を通して増加し続けた場合(気候変動に関する政府間パネルのRCP8.5シナリオ)、一部の海域では2100年までに、海洋CO2濃度の自然振動の振幅が、最大で現在の10倍に増幅されると予測する。今回のデータから得られた知見は、地球システム気候モデルの予測とおおむね一致している。我々が予測したCO2の年サイクルの増幅に見られる明確な全球パターンは、南大洋、太平洋、北大西洋の主要な漁場では、平均大気中CO2濃度から予想されるより数十年早く炭酸過剰にさらされる可能性があることを示している。我々は、CO2濃度の強い季節動態と、こうした海域の緩衝能を低下させる海洋における人為起源CO2の長期的な有効貯蔵の組み合わせとして、こうした海洋の「CO2ホットスポット」が発達し、年サイクルにわたってCO2濃度の非線形増幅を起こすと提案する。大気中CO2濃度が650 ppmを超えると、海洋の炭酸過剰が始まる(海水のCO2分圧が1000 μatmを超える)と予測され、高排出シナリオ(RCP8.5)を仮定すれば、2100年までに最大で海洋表層の半分が炭酸過剰になると予想される。こうした広範囲の海洋の炭酸過剰は、21世紀の漁業に有害な影響をもたらす。

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