工学:光を使って直接通信する単一チップマイクロプロセッサー
Nature 528, 7583 doi: 10.1038/nature16454
短い電線でのデータ伝送は帯域幅と電力密度の両方で制限されるため、携帯電話から大規模なデータセンターまで、現代のコンピューターシステムにおける半導体マイクロチップに性能ボトルネックが生じている。シリコン系ナノフォトニックデバイスによって可能になる、チップスケールのエレクトロニクス–フォトニクスシステムに基づく光通信を使えば、こうした制限を克服できる。しかし、エレクトロニクスとフォトニクスのマイクロチップ製造が両立しないため、同一チップにエレクトロニクスとフォトニクスを組み込むことは困難であることが分かっている。そのため、現行のエレクトロニクス–フォトニクスチップは特定分野の製造工程に限られており、回路が簡単な光学デバイスが少数あるだけである。今回我々は、一体となって作動し、論理機能、メモリー機能、相互接続機能が得られる、7000万個のトランジスターと850個のフォトニクス部品を集積した単一チップ上のエレクトロニクス–フォトニクスシステムを報告する。このシステムは、オンチップフォトニクスデバイスを使って光で他のチップと直接通信するマイクロプロセッサーを実現したものである。我々は、マイクロプロセッサーチップのスケールでエレクトロニクスとフォトニクスを集積するため、フォトニクスの集積に「ゼロ変化」法を採用した。フォトニクスの製造を可能にする特別なプロセスは、高い歩留まりでの最新のトランジスターとの大規模集積の実現を困難あるいは不可能にすると思われる。我々は、こうした特別なプロセスを開発するのではなく、現行のマイクロプロセッサーに使われている標準的なマイクロエレクトロニクス製造工程を使って光学素子を設計した。今回の結果は、ネットワークインフラストラクチャーからデータセンターやスーパーコンピューターまで、コンピューターシステムアーキテクチャーを一変させ、より強力なコンピューターを可能にする、チップスケールのエレクトロニクス–フォトニクスシステムの時代の始まりとなる可能性がある。

