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材料科学:高い密度で均一にナノ粒子を分散させたマグネシウムの加工と特性
Nature 528, 7583 doi: 10.1038/nature16445
マグネシウムは、密度がアルミニウムの3分の2という軽い金属であり、地球上に豊富に存在する上、生体適合性もある。従って、マグネシウムを航空宇宙、自動車、防衛、携帯型電子機器、生物医学に応用すれば、エネルギー効率やシステム性能が向上する可能性がある。しかし、従来の合成方法と加工方法(合金化と加工熱処理)は、マグネシウムなどの金属の特性をさらに向上させるという点では一定の限界に達している。金属の強度を高めるために金属マトリックス中にセラミック粒子が加えられているが、残念なことに、セラミック微小粒子は、金属の可塑性と機械加工性を著しく低下させる。ナノ粒子なら、金属の可塑性を維持もしくは向上させつつ強度を高められる可能性があるが、金属マトリックス中にナノ粒子を均一に分散させることは難しい。今回我々は、溶融金属内でのナノ粒子の自己安定化機構を通して、マグネシウム中に炭化ケイ素ナノ粒子を高い密度(14体積%)で均一に分散させ得ることを示す。その結果、強度、剛性、可塑性、高温安定性の向上が同時に達成され、ほぼ全ての構造用金属よりも比降伏強度と比弾性率が高くなった。

